土佐のカツオ一本釣りは、諸説ありますが、江戸時代の初期に紀州(今の和歌山県)から伝来したという説が有力です。紀州のカツオ漁師が、カツオの多い土佐湾や足摺岬周辺で漁をするために住み着き、県内全域に広まっていったものと考えられています。
漁法としては、カツオの群れを見つけ、活きたイワシなどの小魚をその群れに蒔き、併せて船の船首部分から海水を散水し、海面に水しぶきを立ててカツオを船に寄せます。カツオが船に付いたら、竿でテグス(糸)の先に付けた「カブラ」と呼ばれる小魚に似せた疑似針を投げ込み、あたかも小魚のように動かして、カツオを食いつかせます。この「カブラ」の針は、釣ったカツオがすぐに外れるように「かえし」が無く、次々にカツオを釣り上げることが出来ます。
土佐湾には、カツオやマグロ類が「漂流物の周りを回遊する」という習性を利用した「土佐黒潮牧場」という人工浮魚礁(ブイ)を15基設置しており、これらの魚種を集魚し、釣獲しています。この他にも、様々なシチュエーションでカツオ一本釣りは行われますが、特にクジラ付きのカツオを追いかけ釣獲する様は圧巻です。クジラが餌のイワシを探してくれるので、カツオはクジラが探したイワシのおこぼれを狙いますが、そのカツオを狙います。クジラと併走してのカツオ漁は大迫力です。